空間と空間の狭間に、"はじまりのうみ"という場所がある。
世界が生まれる場所。
原初の記憶が埋もれるトコロ。
寄せては引く波の音しか聞こえない静かな空間を、彼女はゆっくりとした足取りで歩いていた。
何物にも干渉せず、何物にも干渉されないそこは静寂に満ちて。
ともすれば波の音に全てが飲みこまれてしまうような、そんな空間だった。
そんな中を彼女は悠然と歩く。
世界の主たる彼女の姿は、見るモノがいなくても威風堂々としたもの。
ふと、その足が止まり、表情に苦笑の色が浮かぶ。
視線の少し先には浜辺が映っており、よく見ると空色の髪の少女がいた。
居た、というのは少し語弊がある。ただ少女は浜辺に流れ着いていた様に横たわっていた。
特に歩調を早める事も無く、彼女は再び歩き出し、少女に近づく。
その距離がおよそ1、2Mまで近づいて、彼女は足をとめ、
「…大丈夫。危害を加える気はないよ」
苦笑を浮かべ、距離を保ったまま浜辺に腰を下ろした。
「別にそんなに警戒しなくても」
笑いかけるが、変わらず少女は横たわったまま。
「あー、そうだなぁ。神様、て言われてもおかしくない存在かな?」
言葉に少女の姿が一瞬揺れる。
それだけだというのに、彼女はやけに嬉しそうに笑みをかたどった。
「うん? 私が呼んだ訳じゃない。むしろ呼ばれた方なんだけど」
眠ったままの少女に語りかける。
言葉は返ってこないはずなのに、それは確かに会話が成立していた。
「たまにあるんだ、こうゆう事。君たちみたいに渡り歩く者が、ね。休息を求めてやってくる」
休息って言うのはちょっと違うかな、と小さく。
「ここは"はじまり"だからね。酷使された魂が、癒される場所なんだよ」
だから、安心してゆっくりと休むといい。
そう言葉を紡げば、少女は、微笑んだ気がした。
どれぐらいの時間が経ったのか。
あるいは数瞬の出来事なのか。
そもそもそこには時間という概念があるかどうかすらも疑わしい。
たださざ波の音と、ゆるやかな風が流れるばかりで。
浜辺には変わらず眠る少女とその隣にいる彼女の姿があった。
しかし少女の体は既に身体半分は波の中に浸かっており、次に大きな波が来た時には攫われてしまいそうで。
伏せられていた彼女の瞼は開き、水平線の向こうを見やる。
水面が揺れ、押し寄せてくる
「…君に龍と時の加護がありますように」
唐突に呟かれた彼女の声と同時に、波が少女の体を飲み込む。
一瞬のうちに水の中に消えた少女は、身動ぎする事無くうみの中へと消えていった。
その一連の流れに慌てる事無く彼女は微笑む。
そもそも"ここ"は確かに"はじまりのうみ"と呼ばれる場所ではあるけれど。それが本当の水だとは限らない。
世界は彼女が一番最初にイメージしたものに固まって、感触はソレだとしてもソレが実際にあるものだとは限らない。
波に運ばれて、少女は元居た世界に帰って行っただけなのだから。
「次が有るかは難しいけど、そんときはちゃんと話せるといいけど」
ねぇ、アディシア―――― ?
呟きは波間に消え、そして彼女の姿も消えた。
コラボ企画で描いて貰ったアディシアと出てないけれどリアとラスリアさん、アディシアも仕事とか忙しいのとかで疲労がたまっていたり
したんでしょうね。休めたようで良かった
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